小蛇尾川にひっそりと存在する怒涛の連瀑帯!
滝のすぐ横に掘られた謎の坑道も興味深い。
小蛇尾川支流 坑道沢(仮)
2025/8/3 日帰り
辺境クライマーのけんじりさんに声をかけて頂き、小蛇尾川支流の謎の沢に行くことになった!
小蛇尾川の下流部は釣り人が入るようで、web上にいくつか記録があるが、目的の沢は全く記録が出てこない。
最近は特に内容の分かっている沢にしか行かない私は、つい記録のない沢に対して「行って滝も何もなかったら…」「逆に超ハードで死ぬほど難しかったら…」等と余計なことばかり考えてしまう。
しかし、目的の沢は航空写真で見ると確かに連瀑帯が見えるし、今回のパートナーはクライマーのけんじりさんだ。
間違いなく滝はあるし、私には難しくてもけんじりさんが突破してくれるだろう…


ということで、適当なコンビニで朝集合し、起点となる土平へ。
山と高原地図情報では土平への道は8時から18時しか通行できないとのことで、10時間以内に登って降りてこなければいけない、タイムリミット付きの山行だ。
8時少し前にゲートに着いたがすでに開いており、ありがたく通過させてもらった。
土平から目的の沢の出合までは約2時間の長い林道歩きだ。
その間、けんじりさんが色々ととんでもない体験談を語ってくれた。
今年フィリピンのミンダナオ島で沢登りしてたら山岳部族に捕まって銃を突き付けられた話、去年はミンドロ島の沢に行ってレプトスピラというヤバイ感染症にかかって死にかけた話、海外登山報告会で天皇陛下と会話したという話…
内容が濃すぎて2時間があっという間だった。
入渓すると出合からいきなり3連瀑だ。
最初の滝を右から、次の滝を水流沿いから越えた。
3つめの滝は右壁を登り、滝へトラバース。最後、落ち口へ乗越す部分で勇気が出ず、ロープを出してもらった。


続いてナメっぽい滝が出てきた。私がリードするが、思ったより傾斜があって登りづらい。
スリングをアブミ代わりに無理やり這いあがったが、結局その上が登れずにリードを交代。
ハイステップで大岩を越えるとまた次の滝だ。


ここから先は全てけんじりさんがリード。
滝の途中でなにやら行ったり来たりしていたが、カワネズミという珍しい生き物がいて、撮影していたとのこと!
ネズミと名前はついているが、モグラに近い生き物らしい。
滝の水流左を快適に登って越えると、両岸が狭まりCS滝が続く。
CS滝は左壁にいい感じにホールドがあって楽しく越えられた。




続くトイ状の滝が大変だった。けんじりさんは軽く登って行ったが…
出だしはボルダームーブで水圧に耐えつつ水流内に入っていくのだが、フォローでもキツくて腕がパンプ。笑
その先も微妙に滑る左壁にスメアして登っていく必要があり、ヒヤヒヤした。
すぐ上の滝はホールド豊富だった気がする。




次の滝を灌木帯から巻くとゴルジュ地形になり、内部には連瀑がかかるが、どれもフリーで越えることができた。


ゴルジュを抜けると末広がりの大滝が現れた!
この滝が最後っぽいし、そろそろ時間も心配だし、登らずに引き返そうか迷ったが、念のため滝上の様子を見てこようということになった。

とりあえず下部の傾斜の緩い所をフリーで登っていくと、先行していたけんじりさんが洞窟を発見。
見てみると人工的に掘られたもので、冷たい風が吹き出している。
奥まで続いていそうだったので入ってみたが、5分程で全て見て回れるくらいの規模だった。
廃坑なのか、道路工事関連なのか、何のために掘られたのかは結局よく分からないが、面白かった!


左のルンゼから滝上に巻き上がると二俣となり、穏やかな渓相が広がっていた。おそらくここで滝場は終わり。
これで気兼ねなく帰れるということで下降を開始するが、時間はすでに14時40分!
タイムリミットがあるのでとにかく急いで下った。
16時過ぎに出合に戻り、長い林道を飛ばして歩き、何とか17時50分頃に土平に到着!
ハーネスも履いたまま急いで車に乗り込み、ゲートまでの道を爆走すると、無事ゲートは開いていた。
間に合って一安心しつつ、しばらくゲート前で沢装備を片付けていたが、一向にゲートを閉めに来る気配が無い。
不思議に思いながら道路を下って行くと、通行規制の看板を発見。
見てみると、時間の部分が消されていた。
最初から時間制限など無かったのだった…
浮いた時間で、定食屋でゆっくりしてから解散した。
久々の本格的な滝登攀は反省点だらけだったが楽しかった!
謎の坑道、珍しい生物、徒労…色々と思い出深い山行となった。
けんじりさん、ありがとうございました!
コースタイム
8:20 土平-10:20 坑道沢出合-14:40 二俣、同ルート下降開始-17:50 土平
装備
50mロープ×2、登攀具一式、ラバー(シュカ)、フェルト(けんじりさん)
