雪渓に守られた越後屈指の名渓!美しく磨かれたスラブと源頭まで無数に連なる滝は圧巻。
北ノ又川 滝ハナ沢 遡行記録
2023/9/24 日帰り 4級上
早朝、白銀の湯に集合し、まだ暗い中出発。
北ノ又川に入渓し、しばらく河原歩き。ここを歩くのは今月入って2度目なので慣れたものだ。
箱淵に到着すると、この前よりも少し水量が増えているように感じた。
ここ最近雨続きだったからだろう。もう泳ぐには寒いので、今回は巻くことにした。
右岸から箱淵を巻き、続くゴルジュ帯もうまくへつったりしつつ、濡れずに滝ハナ沢出合に到着。



出合からすぐにナメが現れ、美しい渓相に気分が上がる。次々出てくる小滝やナメが心地よい。
ミニゴルジュにかかる2段8m滝は右岸草付きから高巻いた。
時々腰まで浸かったりしながらゴルジュを進む。




地形が緩み、広河原に到着。絶好の幕営スポット…というか、泊まるならここしかないという感じ。
左岸には綺麗に整地された幕営跡が残っていた。手練れの沢屋が最近入っていたようだ。


ここを過ぎると、例年なら大きな雪渓が覆う区間になるが、今年はスノーブロックが散乱している程度。
岩盤に囲まれた険しくも美しい渓相に、一同大歓喜!
普段は雪渓でこの景色が見られないと思うと、雪の少ない年に遡行して良かったと思う。



奥に進むと、40mナメ滝が現れる!
優美に流れ落ちる滝、美しい釜、明るいスラブ…
息を吞むような絶景とはこんな場所のことを言うのだろう。



40mナメ滝は右壁から快適に直登。滝上もナメが広がり、非常に美しい区間が続く。
気が遠くなるような長い時間をかけて自然が創り出した造形美だ!
この空間を体感することができて良かった。とにかく感動するほど美しかった!




先へ進むと、いよいよ両岸が険しさを増し、暗いゴルジュ帯になっていく。
最初の滝を巻いた先に、巨大な雪渓が現れた。
いくら例年より少ないとはいえ、やっぱり全く無いわけがなかった。
ここまでが快適すぎて、なんだか気が重い。



左岸のルンゼから巨大雪渓の高巻き開始。草付きをトラバースしていくと、いい感じのテラスに出た。
険悪な谷の中に、30m滝、20m滝がかかる。ここもまとめて巻く。
高巻き中、谷の奥に超巨大な雪渓が見えた。


沢床に戻れそうなリッジを見つけ、クライムダウン。高度感が半端ないが、焦らず慎重に下りれば問題ない。
無事に沢に戻ると、赤い岩盤の連瀑帯となる。岩質が変わったのだろうか?ちょっと不気味だ。


赤いゴルジュを進むと、先ほど見えた超巨大雪渓のふもとに着いた。
左岸の側壁をトラバースして右俣を目指す。
絶対にミスれないプレッシャーと、時折聞こえてくる雪渓の不気味な崩壊音も相まって、この沢で一番緊張感のあるパートだったと思う。


ようやく右俣に到着し谷底を覗くと、地獄のような景観だ。
超巨大雪渓の先、左俣は暗く鋭利に切れ落ちている。たぶん人類未踏なのだろうが、全く行きたいと思わなかった…


進む先の右俣は険しいが明るい渓相だ。
最初の15m滝を左岸から巻くと、多段100m滝が現れる。
だいぶ上まで登ってきたような気がするが、それでもこのスケール感が続くとは驚きだ。
水流右を快適に登っていき、途中から草付きに入って巻き上がった。




大滝上には3mCS滝がかかる。ヌメリが強く直答できず、割に合わない大高巻きとなる。
連瀑帯をまとめて巻き、先に見える50m黒滝を目指して下る。
黒滝は水流左から快適に登ることができた。




co1620の二俣を右に入ると、いよいよ源頭部の様相に。
もう終わりかと思いきや、小難しい滝が度々出てきて中々稜線に出ない。





最後の30m滝を登るとゴーロとなり、草付きルンゼを詰めてようやく登山道へ抜けた。
越後駒ヶ岳山頂を踏んでから、涼しい登山道を下山。暗くなる前に無事に駐車スペースに帰還。


感想
滝ハナ沢は素晴らしい沢だった!
険しいだけではなく渓相も非常に美しい。
40mナメ滝付近の綺麗すぎるナメ区間や、右俣に入ってからの開放的な連瀑帯など、登攀はもちろん景色も楽しめる沢だった。
今回はなるべくロープを出さずにスピーディに進むことで、日帰りで遡行することができた。
一か所でもルーファイをミスったら明るいうちに下山できなかっただろう。
足並みの揃ったパーティメンバーの皆に感謝だ。
それにしても越後駒ヶ岳周辺は名渓揃い。
改めていい山だなぁ…
コースタイム
白銀の湯5:15―入渓5:30―滝ハナ沢出合6:50―広河原8:00―二俣10:00―奥の二俣12:20―登山道13:40―山頂14:00―白銀の湯17:00
装備
ラバーソール靴、40mロープ×2、カム・ハーケン
